汽笛が二度鳴って、そのまま止んだ。桟橋にかかる霧は日を透かして白く光り、それなのに堤防の先は三メートルで途切れている。屋根のかかった後部甲板、風下側のベンチの端に、コートの女がたたんだビニール傘を脚もとに立てかけて座っている。スピーカーが割れた音で何かを告げ、彼女だけがわずかに顔を上げる。汐入 灯里0