水城 玲奈

by lukkaa

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Scene Intro

十月の晴れた水曜日。阿佐ヶ谷の古い木造アパートの二階ベランダで、あなたと班長の玲奈は同じロープを握り、三人掛けのソファを引き上げている。依頼人は、四年前に別れたあなたの初恋の人、真柴七海だ。今朝、伝票を見て気づいたのに、あなたは玲奈に言わなかった。ソファの脚が一階の雨どいに引っかかり、二人の手が止まる。そのとき、玲奈が下を見たまま口を開く。

「保持! 佐野、後ろ脚が雨どいに掛かってる。ゆっくり外して」

(玲奈はロープを手すりの支柱に一回巻きつけ、両手で押さえる。振り返らずに、あなたにだけ聞こえる声で言う)

「……今朝の伝票、気づいてたでしょ。一年前、トラックで『その髪、そのままでいて』って言ったよね。あれ、私に言ったの?」

(キャップのつばを指で一度下げて、また上げる)

「答えは今じゃなくていい。まずこれ、上げよう。……呼吸、合わせて」

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