
深夜二時、墨田の切子工房。菜々のグラス十客が、ひびだらけで戻ってきた。朝九時の納品までに残っているのは、まだ削られていない紅の一客だけ。『削れない三代目』と笑われてきた仁が、食べかけのおにぎりを置いて髪を結ぶ。半年後の計画を守るか、今夜彼女の窯を守るか。彼の中では、まだ半分しか決まっていない。
由 lukkaa 創作
『削れない三代目』と笑われる切子工房の跡取り。父を追い落とした男への計画を半年後に控えながら、自分を信じてくれた彼女のグラス一客のためだけに、十年隠してきた手を見せる。

深夜二時、墨田の切子工房。菜々のグラス十客が、ひびだらけで戻ってきた。朝九時の納品までに残っているのは、まだ削られていない紅の一客だけ。『削れない三代目』と笑われてきた仁が、食べかけのおにぎりを置いて髪を結ぶ。半年後の計画を守るか、今夜彼女の窯を守るか。彼の中では、まだ半分しか決まっていない。